家の中の場所ごとの収納術については、Lesson5-4までで解説した通りです。Lesson5-5では、最後に「衣類」「書類、書籍」等の収納に関するちょっとしたコツを学びましょう。
衣類は丸める
衣装ケースに衣類を収めるときは、畳むのではなく丸めた方がいい場合もあります。
これは衣装ケースの高さが低い時に効果的な方法です。もし十分な高さがあれば、服をたたんで「縦に」してから衣装ケースに収めていく方が良いのですが、そうでない場合はたたんだ服をお店の棚に並べるように寝かさなければケースの中に納まりきらない可能性があります。
しかし、たたんだ服を地面と平行になるように納めた場合、今度は衣装ケースの奥の部分が余ってしまうケースが出てきますし、たたんだ服を縦に重ねていくことで「下の服を掘り出す」必要が生じてしまいかねません。これは、
- 服がどこにあるか分からない
- 服を取り出すためにいちいち手間がかかる
といったデメリットを生み出し、取り出しにくい服は着ないという風に、せっかく買ったものを無駄にしてしまいがちです。そうなるのを防ぐため、たたんだ服は縦にして手前から奥に重ねていくこと、高さが足りない場合は丸めて収納することで閲覧性を高めることを意識しましょう。
もちろん、しわを付けたりしないようにしたいとお考えの方も多いでしょう。大事な服に関しては、衣装ケースの引き出しの内ひとつを「大事な服用」としておき、十分な空間的余裕のある状態にしておくと良いかと思います。そこに大事な服を入れておけば、取り出す際も比較的手間がかかりませんし、しまってある服が少なければ閲覧性も十分に担保できるわけですね。
書類、書籍、CD
書類や書籍、CD/DVDなどは棚に置く消費財の代表例です。書類に関しては、領収書や証明書、契約書類など絶対に保管しておくべきものを分野別に小分けにしてファイリングしておくと良いでしょう。領収書とレシートは一つの箱に入れることにして、家に帰り次第まとめて放り込むだけでも後で整理がしやすくなります。
取り扱い説明書や保証書など、いざという時に使うものはやはりファイリングするのが良いのですが、パソコンの説明書のように非常に分厚いものでしたら、専用のケースを用意してそこにまとめて置くのが良いでしょう。ケースそのものは透明でなくとも構いません。事故が起きた時に「そこに説明書がある」と分かってさえいれば良いので、収納するときもそこまで神経質にラベリングしたり細かく分類する必要はないのです。
書籍やCDの類は、どうしても残しておきたいものを除いて、体験をし次第処分しておきます。この講座では何度も触れて来ましたが、本や音楽メディアは非常に再入手しやすくなっています。読んだら捨てる、観たら捨てる、聴いたら捨てる。それを徹底するだけで本棚の様子は大分変わってくると知りましょう。
年賀状や手紙
年賀状や手紙、人からもらった名刺などは捨てづらいものの代名詞です。年賀状は保管しておかないと「誰から来たのか」が分かりませんし、手紙には書いた人の魂がこもっているような気がしてなかなか手放せません。文豪からの手紙なら後年価値が出ることもありますし、手紙に使われた語彙が新しい言葉として広まることもあり得ます。名刺も名刺ホルダーに入れておけばかさばりません。

しかし、このような考え方が整理術の邪魔になることも理解しておくべきなのです。年賀状や手紙、名刺などは一度受け取った時点で役割を果たします。後は一年に一回使用するかどうか、といった程度のものですから、それらを保管すればコストがどんどんかかってしまいます。
そんな時に最新の技術とサービスが役に立ちます。片付けの手順化と同じことで、人から受け取った年賀状や手紙、名刺などは全て電子化してしまえばいいのです。年賀状やお手紙はスキャンしたらもう裁断して捨ててしまっても構いませんし、名刺に関してはスマホの画面に置くだけで内容を保存して電子化してくれるようなアプリまで存在します。
そのような便利な道具を使えば、それらのものを保管しておくスペースは必要なくなりますし、電子化したものをクラウドサービスに置いておけば、パソコンやスマホを起動してさえいればいつでも読むことが出来ます。
いただいたものは捨てにくいもので、人によってはこのような発想には抵抗があるでしょう。しかし考え方によっては劣化・紛失してしまう紙ではなく永遠に劣化しない電子データとして残しておく方が大切にしていると言えるかもしれません。片付けによって得られる柔軟な発想は、まさにこのようなものなのです。
他にも具体的なテクニックは存在する
他にも、最初にIntroductionでご紹介したように、鞄を鞄の中に収納することで鞄用のスペースを節約するというテクニックもあります。このような節約術は、各人のアッと驚くような発想力の賜物であり、世の中には収納のためのテクニックがあまりにもたくさん存在します。
それらのテクニックを学ぶためには、片付けの基本的な流れや概念を理解しておく必要があります。しかし、ここまでのLessonを真面目に受講して来たあなたにとっては、それらの理論はもうお手の物と言ってもいいはずです。紹介される一つ一つのテクニックの裏にどのような思想が存在し、なぜそのような片付け術を編み出すに至ったかまで理解できるようになっているはずです。
片付け術を学ぶ上で一番楽しいのは、本講座で解説したような基本的な片付けを完璧にマスターした後なのです。今まで気付かなかった収納テクニックを発見できるようになると、それらを自分の片付け術に取り入れながらめきめき腕前が上達していきます。
片付けのプロとなった皆さんを待っているのは、様々な片付けテクニックを効率よく吸収できて部屋も片付いていくという不思議で素敵な時間です。整理や片付けの楽しさと実益に思いっきり浸りましょう!