寸法を測る
押し入れの収納を考える上で最初にすべきことは、全体の寸法を測って「どのくらいの大きさのものが入るのか」を見極めることです。奥行きが1mほどの押し入れに長さ1m以上の衣装ケースを入れようとすると、横向きにしなければなりません。しかし押し入れの壁を向いた衣装ケースから衣類を取り出すのは難しいわけで、収納としては及第点に達していません。

このような悲劇的なケースをなくすために、まずは押入れ全体の収納スペースの広さを測ってみるべきなのです。そうして押し入れの高さ、横幅、奥行きをメモし、必要であれば衣装ケースやカラーボックスなどを買いに行きます。
もちろん、この作業は実際に片付けの段階にやらなくても良いことですので、Lesson4のSTEP1「理想の部屋を想像する」段階で測ってしまっても構いません。その時点でもう衣装ケース等の購入を決めているのでしたら、部屋の片付けに取り掛かる前に購入しておくのが良いでしょう。
実際に外に出てホームセンターなどで購入する場合は、押し入れの「高さ」「横幅」「奥行」それぞれの長さに揃えた紐を用意しておくとよいです。確かに収納器具には寸法が書いてありますが、実際にメモした数値と目の前の収納器具とを照らし合わせて「入るか入らないか」を判断しても、想定していたよりはるかにギリギリだったという例も多々あります。そこで、実際の長さに切りそろえた紐を当ててみて、「このくらいのスペースが余る」と目で見て理解するのが良いでしょう。
ただ、地域によって押し入れのサイズはある程度固定されています。関東の押し入れなら奥行80㎝程度、公団住宅なら奥行75㎝程度という風に規格が統一されていることもあります。通信販売の際は気を付ける必要がありますが、地域に根差したホームセンターや家具屋さんならきちんと収まるタイプの収納ケースが展示されている可能性が非常に高いと踏んで、収納ケースから押し入れの大きさを考えるという裏技も可能です。
棚板を上手く利用する
本棚の横に渡す幅広い板。
押し入れの整理をする際は、このような横長の板が重宝します。布団など柔らかいものを押し入れにしまうと、その上に直接他のものをおくことが出来ないせいで押し入れの中にデッドスペースが生じることがあります。それを防ぐためには、棚板で区切って押し入れのスペースを二分割してしまうというテクニックが有効になります。
一度に分割してしまえば、布団や毛布の上にこぶし大程度のスペースが空いていてもあまり気になりません。その上の板に他のものを載せることが出来るからです。
収納ケースは取っ手のついたものがよい
押し入れに使う収納ケースは取っ手のついたものを使うのが良いでしょう。特に押し入れの高いところに何かを収納する場合、取っ手がなければ背伸びをして取らなければなりません。
この「なかなか手の届かないところに収納する」という考えは曲者です。使用頻度の低いものは取り出しにくい場所に置いてしまえばいい。私たちはそんな風に考えがちですが、その考えを推し進めると押し入れの上部に「引っ越しするまで使わない余計なもの」がずっと置かれたままになる危険があるからです。
手の届かないものに対しては整理しようという気持ちもなかなか沸き起こりません。したがって、高い場所や押し入れの奥にしまうものに関しては、なるべく取っ手やキャスターのついたケースに入れて外に出しやすい状態を作りましょう。
冬物の暖房器具をキャスター付きの台車に置いて押し入れの奥にしまう、というテクニックが有名ですが、これは「奥のものを取り出しやすいように」という基本を押さえたものです。
押し入れのものを取り出しやすく
これは押し入れの収納術とはあまり関係ないのですが、押し入れの中のものを取り出しやすくする工夫を凝らせるかどうかが収納の上手い下手を分けることもあります。
たとえば、押し入れの中を「右」と「左」に2分割するとしましょう。そして右に使用頻度の高いものを、左に使用頻度の低いものを置くとします。使用頻度別の収納としては決して間違った考えではありませんが、その後「左側のものはあまり使わないから……」と押し入れの左扉の前に段ボールを置いてしまったりする人がいます。
これは絶対にやめましょう。押し入れの前に段ボールなどの障害物を置くと、そちらの扉は一気に使いづらくなってしまいます。結果として使用頻度の低いものを取り出す機会がますます減り、余計に使わないようになってしまうということも……。
キャスターや取っ手のついた収納ケースを使うのも、押し入れの中のものを取り出しやすくするためのコツです。せっかくの工夫を潰す様な収納の仕方は百害あって一利なしと考えましょう。