Lesson4-5 収納を考える

片付け2日目になりました。

前日に必要なもの・不要なものの整理を行ったら、次はいよいよ本講座の目玉となる収納と片付けです。具体的な収納の方法に関しては、Lesson4よりむしろこの先のLesson5でご説明いたしますので、まずは収納や片付けの流れを作ってしまいましょう。

Lesson3で言葉の意味を確認していただいたので、片付けと収納の微妙なニュアンスの違いについてはご理解いただけているものと思いますが、念のためおさらいしましょう。片付けは「片寄せ」から発生したもので、ものの移動を意識した言葉です。それに対して収納は、ものを特定の場所に収めるという英語でいう”in”に重点を置いた言葉です。

  • 片付け:ものを本来あるべき場所に移動させる、元に戻す
  • 収納:ものを適切な場所にしまう、中に入れる

先に「収納」場所を決めていなければ、どこに片付ければいいのか分からず、必要なものを手当たり次第押し入れの中にしまってしまうような「場所の移動」になってしまう恐れがあります。逆に言えば、収納さえ完璧であれば片付けは決めた場所に戻すだけでOKですので、一気に敷居が下がります。

では、「収納」について考えていきましょう。

STEP5 収納の基礎的な決まり事を押さえる

さまざまなものを「収納」するにあたって、これさえ守っておけば大事には至らないという決まりがいくつかあります。そちらをご紹介しましょう。

家具の高さを調整する

ものの多い部屋でも綺麗に見せるコツは、視線の流れや配置の妙を知ることです。インテリアデザインの本を参考に「片付け終えた理想の部屋」を考えたり、友人の綺麗な部屋を参考にしている内に気付かれる方もいらっしゃるかもしれませんが、綺麗な部屋には視覚を理解したデザインの妙が潜んでいるものです。

デザインの妙とは何か? それは家具の高さを揃えることです。人によっては少し無味乾燥した部屋に見えてしまうかもしれませんが、整然と統一感の取れた部屋というものは、家具の高さが何となく統一されているものなのです。背の低いものは広い天板のあるテーブルの下に配置したり、棚の上に置くカゴ類を全て同じもので揃えたりして高さを調整すると、統一感が出てすっきりとした見た目になります。

また、人の視線が上から下に、手前から奥に流れるという原則にも注意しましょう。部屋の入り口から窓側に向けて、だんだん家具や置いてあるものの高さが下がっていくと、部屋の視認性が上がります

空間を四角に区切る

押し入れの中、棚の上、キッチンの調味料置き場など、ものを置くために用意されたスペースをどう活用するかが収納における腕の見せ所です。収納術について書かれた本の多くは、これらのスペースを上手く活用する術を紹介していますが、守るべき基本は一つしかありません。

それは「四角に区切る」こと。カラーボックスや収納ケースは空間を四角に区切るのに最適な道具です。広いスペースを埋める場合は、棚板や収納ラックを使って空間を区切るのが有効でしょう。

なぜ四角を意識する必要があるかと言いますと、理由はとても簡単です。円形のものや丸い形をしたボールを想像してみてください。その上にものを乗せるのは安定しませんし、バランスが崩れてしまう恐れがあります。鞄やパソコン用品といった痛んだり壊れてしまいやすいものは、強度のある外箱で守ってやれば、四角に区切った空間のどこに配置しても大丈夫です。

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安定性やものの強度を気にすることなく、使用頻度に合わせて取り出す場所を決めたい。そんな収納家の思いを叶えてくれるのがカラーボックスや収納ケースであり、空間を四角く区切るアイテムなのです。

役割に合わせて場所を区切る

もし不要なものを8割切り捨てることに成功したとしても、生活に必要なものはたくさん手元に残ってしまうはずです。食器などがそのいい例ですね。夫婦や家族で暮らしている場合は、どうしても食器棚を一つ埋め尽くすくらいのものが残ってしまいます。

ここで収納に応用すべき考え方は「グループ化」などの分類法です。同じカテゴリ……たとえばお茶碗や湯飲みなどは「食器」というカテゴリに、書籍やCDなどは「棚に入れるもの」として同じカテゴリにまとめることができます。これらを役割や使用頻度から更に「グループ化」し、グループごとにまとめてしまうと、すっきりとした収納を実現させることができます。

食器を例に説明します。使用頻度の高い「茶碗」や「湯呑」は「毎日使用する」グループに。お酒を飲むときやちょっとしたディナーを用意したときのための「ワイングラス」や「ナイフとフォーク」は「使用頻度の低い」グループに、といった具合に分類します。捨てているかもしれませんが、来客用の食器や月に一度のお菓子作りに利用する型抜きなどは、「滅多に使わない」グループに分類しましょう。

そうして分類したグループごとに、食器棚のそれぞれの場所に収めていきます。お箸とナイフ・フォークは引き出しの中に入れてしまうことになると思いますが、その場合も「普段使いするお箸」と「たまに使うナイフ・フォーク」はきちんと分けておくのが大事です。

フックなどを利用する

賃貸の部屋では若干使いづらいかもしれませんが、フック等を利用して使用頻度の高いものをひっかけておくことで、実際に使う段階になっても忘れない、手軽に持ち出せるといったメリットを得ることもできます。

玄関にフックをつけると買い物用のバッグやレインコートなどをひっかけるのに使えますし、最近では立てかけるタイプの掃除機もありますから、本棚にフックを取り付けていつでも使えるように吊るしておくという形でも応用できます。

ただしフック等を利用する場合は、便利さのあまり何でもかんでもひっかけてしまう恐れがあることに注意してください。たまに「フックを使いたいからひっかけるものを買う」という本末転倒な行動に出てしまう方がいらっしゃいます。また、フックにかけられるからと言ってスーパーのレジ袋を大量にひっかけてゴミ袋代わりにするのもあまり見栄えの良いものではありません。このような利便性の罠に引っかかってしまわないよう、注意する必要があるでしょう。

ものが増えてもいいように余裕を持たせる

狭い場所に様々なものを押し込んでいくのは「収納」の腕の見せ所ですが、ぎちぎちに詰めてしまうと後で問題が生じる可能性が高いのです。

たとえば、一つものを増やす度に前のものを捨てるというルールがあるとしましょう。もしそのルールを守れるのであれば、棚や押し入れの中身は増えないわけですから、常に最適化された状態を保てます。しかし領収書や年金の通知書等、絶対に保管しておかなければならないものもありますし、二~三冊増えただけで一杯になってしまうような本棚では急に仕事用の本が増えたときに対応しきれません。

なかなか使わない調味料などは「買ったら入れ替える」の原則でも構いませんが、増え続ける可能性があるものを収納する場合は、必ず20%以上の空きスペースを確保しましょう。

収納は一見難しそうですが、これらの基本を押さえてしまえば応用が利くようになるものです。そして収納さえ出来れば、後はそこにものを置いていく(片付けていく)だけですが、この段階で一工夫加えるかどうかで片付けのしやすさが違ってきます。

ではその一工夫とはどのようなものなのでしょうか?