Lesson3-1 片付け術や整理術で頻出の思想や考え方

片付けを裏付ける思想たち

片付け術や整理術では、以下のような用語が使用されることがあります。

  • グルーピング
  • パレートの法則
  • アルゴリズム
  • ミニマリスト
  • もったいない

これらの概念の意味するところは、片付け術や整理術の流派によって少しずつ異なっています。言葉の本来の意味からは少し離れつつ、その片付け術や整理術に最も適切な形で適用できるよう工夫されているのです。

たとえばイタリアの経済学者ヴィルフレド・パレートの発見した「パレートの法則」は、本来の分野であるマーケティングや経営術のみならず、片付けや整理術にも適用できる応用性の高い理論です。

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本来の意味を知っていると「片付けにこの考え方を応用しているのか」と合点が行くことも多いのですが、知らなければ間違った意味で覚えてしまう場合もありますし、片付け術や整理術を学ぶ度に各お片付けの流派に特徴的な使い方を個別に理解しなければなりません。

片付け術や整理術の新しいノウハウに手を出す度に引っかかっていては大変です。物事は何事も効率よく進めたいものですから、片付け術や整理術の背景的な思想については、本来の意味を理解し、流派ごとに使い方の違いを把握するに留めると良いでしょう。

Lesson1では片付けを苦手とする理由について、Lesson2では片付け術や整理術を学ぶことで得られるメリットについてお話ししました。Lesson3では、片付けに適用される用語の本来の意味や語源を学び、片付け術・整理術の骨子となる考え方を作っていきましょう。

微妙に異なる用語の使われ方

片付け術、と称する本は世の中にたくさん出ています。これらの本のタイトルには「整理術」「片付け術」「整頓の方法」「収納法」などと言った言葉が並んでいますが、それらの意味合いは実はちょっとずつ異なります。

例を一つ上げてみましょう。子供の頃、親に「部屋を片付けなさい」と言われて、机の上や床に散らかっているものをまとめて一時的に押し入れに放り込んだ、という経験はありませんか?

このような行動は「部屋を片付けるのが面倒」「親の命令に反発した」結果かもしれませんが、中には本気で部屋を片付けようとして、不要なものを押し入れに放り込むだけで済ませてしまう方もいたでしょう。しかしこれは「片付け」ではありません。ただ目に見える場所に置いてあるものを別の場所に移動しただけです。

なぜこのようなことが起きてしまうのでしょうか?

それは「片付け」の本来の意味を知らないからです。「片付け」を「見える場所にあるものを見えない場所に放り込む」として定義してしまった場合、押し入れに放り込むのは正解です。しかし、そのやり方ではいつまで経っても部屋が綺麗になりません。

これは「歯を磨きなさい」と言われて指先で歯を撫でているようなものです。歯を磨くのは歯垢の汚れを落としたり歯肉のマッサージを行うためですが、それを知らずに「歯に何かを当ててこする」という形だけ覚えてしまうと、間違った意味を覚えてしまったせいでいつまでも間違った方法を実践し続け、結果的に歯を清潔に保てなくなるという悪循環に陥ります。

片付け術や整理術で使われる言葉に関しても、その意味やニュアンスには微妙な違いがあります。片付け術・整理術を学ぶ際は、「片付ける」や「整理する」を一緒くたに使うのではなく、きちんとその違いを把握して「間違った方法」からおさらばする必要があるでしょう。