Lesson2-5 QOLの向上と素敵な生活体験

QOLとは?

QOLという言葉は社会の教科書にも載るようになりました。義務教育を受けた方は覚えているかもしれませんね。一般には「生活の質」のことをQuality of life(QOL)と称し、これが高ければ高いほど豊かな生活を送れている、という指標になります。

美味しい食事を食べる、たっぷり睡眠時間を確保する。人と楽しい会話をする。そういった諸々のことがQOLの向上につながります。

実は予想外の行動がQOLを高めることもあるのです。

かなり珍しい例なのですが、本を読むことでQOLが上昇するという方がいます。普段は仕事で忙しく、なかなか本を読めない生活が続いていたのですが、ある日ついに我慢が出来なくなって好きな本を読み始めました。すると翌日からはストレスから解放されたように快適な生活を送ることができるようになった、と言うのです。その方は「本を読んでいないまま放置している」という事実がずっとストレス源としてのしかかっていたのですね。

これ自体は珍しい例ですが、「自炊をするようになって気が楽になった」「新しいSNSで高校時代の友人たちと連絡を取るようになって毎日が楽しくなった」など、心残りを排除することでQOLが向上するのはけっして珍しいことではありません。

心残りも一緒に片付ける

前回のLessonでも、部屋の片付けをすることで心の余裕が生まれることについて書きましたが、片付け術は部屋を綺麗にするだけでなく、心残りになりそうなものを捨てるきっかけにもなり得ます。

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捨てても良さそうなものなのになかなか捨てられない、という経験をお持ちでない方はいらっしゃらないでしょう。子供の頃の思い出の品など、思い切りよく片付けられないものが世の中にはあまりにもたくさんあります。幸せな人生を歩む人ほどそのような記念品は多いものです。

一方で、片付け術や整理術を学び、これらの記念品を捨てることで、却ってすっきりした生活を送れるようになった……という方も大勢いらっしゃいます。思い出の品は過去を思い出すよすがとなるものですが、同時にあなた自身を過去に縛り付ける呪縛にもなり得ます。

子供の頃や若い頃に素晴らしいことを達成し、大人になってからもそれに囚われてしまう人がいます。大会でいい成績を残した、演奏で名誉ある賞を頂いた、といった出来事をいつまでもいつまでも語り草にする……もちろんそれ自体はとても幸せなことです。人に自慢できる過去が一つでもあれば、死ぬまで幸せに生きていけます。しかし「過去の自分は凄かったのだ」という思いが慢心を生み、人間としての成長を阻んでしまうことも多いのです。

自分の過去に繋がる大事なものを捨てる、いえ、過去と決別することで、より自由に生きていく道が開けることもあります。もし過去に囚われているという自覚があるようでしたら、思い切って大切なものを信頼のおける方に預けてみたり、一時的に目の届かないところに隠して生活を続けてみるのも一つの手でしょう。そうすることで心残りが消え、QOLの高い生活を送ることが出来るようになるかもしれません。

何でもかんでも捨てるのが良いというわけではありませんが、ものを捨てることは過去の自分を捨てることであり、それが良い結果に繋がることもあります。その事実を知っておくと、片付け術や整理術を学びやすくなるでしょう。