Lesson2-2 時間の余裕

片付けによって時間の余裕が生じる

片付け術や収納術を身に着けることによって部屋を広々と利用できる。これは誰にでも想像の出来ることかと思います。片付けや収納は、そもそも空間を広げて快適に過ごすための家事ですからね。

しかし、片付けによって時間の余裕が生まれるのは、実を言うと意外と想像しにくいことなのです。確かに整理の出来ていない部屋から失くしたものを探すのは大変ですし、綺麗に片付いていれば多少は楽になるだろう……とは予想がつきますが、せいぜいその程度の効果しかないのでは? と疑問を抱いてしまいがちです。

「片付けで時間の余裕が生じる」と言われても、何を大げさなことを、と内心馬鹿にするくらいが正常な反応と言えるでしょう。

片付けのプロはそのような考えを抱きません。何故か? 汚い部屋、片付いていない部屋は、タイムロスを生み続けるからです。言わば片付いていない部屋は膨れ上がる借金のようなものであり、支払い続けなければならない負債なのです。

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資産と負債

その昔、ある資産家がこのようなことを言いました。

資産とは利益を生み続けるもののことである

たとえば、マンションの一室を貸し出して家賃収入を得るとします。その場合、毎月決まったお金が入ってくるので、その部屋は資産であると言えます。逆に、一般的に資産だと思われているような「持ち家」などは、維持費がかかる代わりにお金を生み出してくれないので、資産ではなく「負債」に分類することが出来ます。

片付け収納術に関しても同じような考え方を適用することが出来ます。綺麗な部屋・片付いている部屋が資産を生むとは限りませんが、汚い部屋や片付いていない部屋は時間のロスを生み続けます。つまり、部屋が汚いのは「負債を背負っている状態」と言い換えられます。

部屋を片付けないことで生じる時間のロス

片付いていない部屋では時間のロスが生じ、以下のような問題につながります。

  • 大事なものが見付からず待ち合わせの時間に遅れる
  • 必要な物を見えない場所に仕舞っているせいで、無駄な買い物をしてしまう
  • なくしたものを探すのに部屋中をひっくり返す

たとえば名刺を忘れて初対面の相手との待ち合わせに遅れると、これはビジネス的には大きな損失につながる可能性があります。時間を守れない人間が信用を勝ち得るのはとても大変なことです。

必要なものが見つからないタイプの問題に関しては、具体例を挙げると「スマホを紛失したので家族に電話をかけてもらう」「買っておいたはずの切手が見当たらないから近くのコンビニまで買いに行く」「昔読んだ本を再読したいけれど、どの段ボールに入れたか分からないので一つ一つ開封して確認する」といったものがあります。

部屋の片付けをするときも、元々綺麗でものが少ない部屋なら短時間で片付けを済ませられますが、汚い部屋はどこから手を付けるかと考えるだけで途方にくれてしまいます。この状態を健康にたとえてみましょう。健康な人が毎日数分身体を動かして健康を維持するのはとても効果的で、しかもほとんど手間のかからないことですが、不健康な人が健康になろうとして毎日長時間の運動と食事制限をしようとすると、大変な労力がかかりますね。

そして、これらのロスは部屋が片付いていない限り永遠に発生し続けるのです。

部屋を片付けることで生じる時間の余裕

逆に考えましょう。部屋が片付いていればこれらの問題は一気に解決に向かいます。部屋が綺麗であればなくしたものはすぐに見つかりますし、「どこにしまったか分からない」という事態が生じなければ、いちいち買いに行く必要もありません。そして不要なものが少なければ少ないほど、片付けそのものにかかる時間も短縮できるようになります。

中でも大事なのは緊急時の時間的な余裕でしょうか。

部屋が整理されていて物が少ない状態であれば、ものの置き場所を非常に把握しやすくなります。普段とは違う用事で外出する際は「アレをどこにやったかな……?」と急いで探すことも少なくありませんし、外出する直前になって必要なものを思い出すこともあります。

「渡す約束だったCD、どこに置いたんだっけ?」
「しまった、名刺がない! 予備の名刺はどこにあったかなあ……」
「お料理教室用のよそ行きのエプロンが衣装ケースにない? いつものを使うのも格好がつかないし……」

事前に持ち物を用意していたとしても、このような外出直前の時間のロスを完全になくすことはできません。そんなときに部屋が片付いていれば、焦る必要もなく短時間でお目当てのものを探し出すことが出来ます。

日々の掃除や片付けにかかる時間は、せいぜい5分~15分といったところでしょうか。仮に1日10分の「片付けタイム」を設けたとしたら、一週間でおよそ70分のロスが発生することになります。それに対して、普段使わないものを引っ張り出す必要のある外出の用事はさほど多くないでしょう。総合的に見れば、出発直前の安全のために毎日数分の片付けを行う方がタイムロスは多いかもしれません。

しかし、片付けによって節約できるのは時間だけではありませんし、外出時の急なもの探しは良いものではありません。不安にさいなまれて部屋中をひっくり返すあの時間は寿命が縮む思いがするものです。人から借りたものを返す時に「見つからない!」と部屋中を探し回って、結局見つけられなかったら、それはもう面倒なことになるでしょう。

暇な時の数分と急いでいる時の数分では、同じ長さでもまるで価値が異なります。日々の片付けや収納を徹底すれば、暇な時間を費やして忙しい時の時間に余裕を持たせることが出来ます。毎日コツコツ夏休みの宿題をやるより一気に片付けた方が時間はかからないかもしれませんが、時間に余裕があるのはどちらかと訊かれて後者を選ぶ人は稀ではないでしょうか。